働く人の福利厚生ニュース Workers Bistro TOP健康経営「健康経営」の投資効果を得るには2年かかる!メリットや実践企業例を紹介

「健康経営」の投資効果を得るには2年かかる!メリットや実践企業例を紹介


従業員の心身の健康管理をサポートし、企業の成長を目指す「健康経営」。企業の目指す方向性として日本でも実践する企業が増えているものの、「どれほどの投資効果があるのか」「従業員に対してどれほど投資すべきか」気になっている方も多いのではないでしょうか?

健康経営による投資効果が、目に見える形になるにはおよそ2年かかると言われています。この記事では気になる疑問について、メリットや事例をもとに解説します。

健康経営とは?期待できるメリット

「健康経営」とは、企業が従業員らの健康管理を戦略的に実践していくことです。医療費の拡大を防ぎたいという政府の思惑もあり、経済産業省は2015年から毎年、健康経営に積極的な上場企業を「健康経営銘柄」として選定し、公表しています。2017年には「健康経営優良法人認定制度」も創設され、未上場企業や法人なども対象になったことから、中小企業を含め、健康経営への関心が高まっています。

2019年に三菱UFJモルガンスタンレー証券が調べたところ(※1)、健康経営銘柄に選ばれた企業の株価は値動きの幅が小さく、非常に安定していたそうです。健康経営を導入しているかどうかが、投資家が投資先を選ぶ際の指標のひとつになっていることがわかります。

健康経営は短期的にみると設備面などへの投資費用がかかるものの、中長期的には以下のようなメリットが期待できます。

(1)社内の生産性が向上、離職率の低下や貢献度の高い従業員増加
(2)企業のブランドイメージが向上し、優秀な人材を確保しやすくなる
(3)持続性の高い企業体質になる
(4)ESG投資(※)の対象に選ばれやすくなり、株価上昇が期待できる
(5)健康保険料を抑えることができる
※ESG投資とは、従来の財務面での評価だけではなく、環境(Environment)・社会(Society)・企業統治(Governance)に配慮している企業に対しておこなう投資のことで、欧米ではすでに広く行われています。

事例でみる「健康経営」の投資効果とは?

健康経営は従業員の健康に関わるため、投資効果はすぐに目に見えるものではありません。しかし、将来的には大きなリターンを生むことは海外の事例からも確認されています。

ジョンソン・エンド・ジョンソン社は2011年、健康経営の一環として、診療施設やフィットネスルーム施設をつくり、保健指導などの利用費を援助。それにより、従業員の欠勤率が低下し、さらには、優秀な人材の確保につながったという調査結果を発表しました。そのほかにもさまざまな面で業績改善につながり、実に投資額の3倍のリターンがあったそうです。

また経済産業省の調査でも、健康経営銘柄に選ばれた企業の離職率は全国平均の半分以下にとどまっており、健康経営による効果が少しずつ明らかになっています。

スポーツ庁がまとめた「スポーツの実施状況等に関する世論調査」(※3)によると、「運動不足を感じる」と回答した人は30代~50代で8割にものぼり、スポーツができない理由として最も多かったのが、「仕事や家事が忙しいから」という回答でした。

健康経営を実践する企業ではどんな取り組みをしている?

健康経営を実践する企業では、このような運動習慣不足改善のため、「従業員が身体を動かす機会」を作ろうと、工夫している企業は少なくありません。しかし、投下する費用は企業ごとに大きな違いがあり、少ない費用でも従業員の健康管理をすることも可能です。

従業員の肥満率低下や喫煙率0%を目標に掲げるロート製薬株式会社(※4)では、2019年に日々の歩数や早歩きの時間、スポーツを実施した時間などに合わせて獲得することができる社内の独自通貨「ARUCO(アルコ)」を導入。例えば1日8,000歩と早歩き20分を達成すれば10コイン、30分以上の運動を週に2回すれば、50コインが手に入るという仕組みです。貯まったアルコは、自社内で運営しているレストランで使えるランチチケットや健康グッズ、特別休暇などと交換することができます。楽しみながら健康促進につなげられると、社内でも評判のようです。

あまりお金をかけなくても、効果的な取り組みもあります。ヤマハ発動機(※5)では、サッカー・Jリーグのジュビロ磐田のコーチが監修したストレッチ体操を、朝礼時に実施しています。従業員へのアンケートでは、「肩こりや腰痛が緩和した」「ストレスが解消された」という意見が半数以上を占めたといい、職場の活気も増したと言います。

健康経営をはじめるには?流れと課題

人材確保や資金調達にもつながるというメリットがある健康経営は、中小企業こそ積極的に導入すべき取り組みかもしれません。とはいえ、少なからず投資費用もかかるため、「始めたいけど、何をしたらいいのか」と悩む経営者も少なくはないでしょう。

予算の確保も重要ですが、まずは自社の問題点が何なのかをしっかりと把握することがとても大切です。2016年には「健康経営アドバイザー」という資格も創設されました。企業の実態を調べ、それに見合ったアドバイスをくれるので、困ったときはまずは相談してみるのも手です。

従業員への周知はもちろんですが、新たに担当者を決め、社内アンケートを実施し、その上で改善に向けた取り組みを考えます。「休みはきちんと取れているのか」「部署やチーム内でのコミュニケーションはあるか」「ハラスメントは行われていないか」など、従業員が抱える課題を明らかにすることから始めましょう。

難しく考える必要はありません。重要なのは、従業員が不安なく、元気に働ける環境を整えるという点です。福利厚生を充実させることも健康経営の一環でしょう。利益だけを追求するのではなく働く人を大切にする姿勢が、これからの企業には求められています。

《参考資料》
※1:健康経営への投資家の視点 / レオス・キャピタルワークス
※2:健康経営銘柄、健康経営優良法人における離職率 / 経済産業省
※3:令和元年度 スポーツの実施状況等に関する世論調査 / スポーツ庁
※4:独自の社内通貨で従業員の健康づくりをサポート!ロート製薬が健康コイン『ARUCO(アルコ)』を導入 / ロート製薬株式会社
※5:ヤマハ発動機 健康宣言 / ヤマハ発動機