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意外と間違いやすい!福利厚生費として経費計上できる・できないの境界線


従業員への福利厚生費は経費計上する際、判断に困ることも多いのではないでしょうか?今回は、福利厚生費に計上するための条件を8つの事例を交えながら解説します。

福利厚生費として経費計上するための条件は?

福利厚生費を経費として計上するには、一定の条件があります。まず、福利厚生費の基本要件として「機会の平等性」があり、原則すべての従業員が平等に受けられるものであることが重要です。特定の従業員だけを対象にしている場合は、福利厚生費とはみなされません。

2つ目は「金額の妥当性」です。福利厚生費は金額の上限が明確に規定されているわけではないため、判断に迷うことが出てくるかもしれません。まずは相場を把握し、常識を超えた高額な福利厚生になっていないか確認しましょう。金額の妥当性が認められないと税務調査で指摘される場合があります。

金額の妥当性については、「中小企業の福利厚生費の相場は?平均額を調査」をあわせてご覧ください。

福利厚生費として経費計上できるもの、できないもの

以下に福利厚生費の検討例を紹介します。※ここで紹介しているのはあくまで一例です。状況に応じて経費計上できない場合もあるため、判断に迷う場合は国税庁や税理士に確認することをおすすめします。

例1:ハワイへの社員旅行

社員旅行の行き先が海外の場合、下記の条件を満たすと福利厚生費として計上可能です。
1.旅行期間が4泊5日以内
2.参加者が全社員の50%以上
3.目的が一般的なレクリエーションである

不参加の従業員に対して、旅行代金に代わりに現金支給をすると“給与”扱いになるので注意が必要です。

参考:「従業員レクリエーション旅行について」「課税しない経済的利益……使用者が負担するレクリエーションの費用」 / 国税庁

例2:一食1,500円の高級弁当支給

福利厚生費として食事補助するには、「従業員が食事代の半分以上を負担」し、「企業の負担額が1ヶ月あたり3,500円以下(消費税を除く)」という条件を満たす必要があります。

1食1,500円の高級弁当を上記に当てはめると、月に4回分、従業員と企業が毎回750円ずつ負担すれば食事補助として処理できる計算です。ただし毎日支給すると企業負担の限度額を超えてしまい福利厚生費としては処理できません。なお、残業や宿直・日直をした従業員への食事については、1,000円から1,500円程度の「現物支給」であれば、福利厚生費として認められます。

参考:「No.2594 食事を支給したとき」「課税しない経済的利益……残業又は宿日直をした者に支給する食事」 / 国税庁

例3:家賃の半額を補助する住宅手当

「住宅手当」は、従業員の家賃や持ち家の住宅ローンの一部を現金で支給することを指すので、福利厚生費にはなりません。一方、社宅として企業が借り上げ、その家賃を負担している場合は「家賃補助」になり、従業員が家賃の50%以上を負担している場合、福利厚生費として経費計上できます。

社員が契約している住宅の家賃の半額を企業が負担すると、「住宅手当」は福利厚生費として経費計上できない点に注意しましょう。

参考:「No.2597 使用人に社宅や寮などを貸したとき」「No.2508 給与所得となるもの」/ 国税庁

例4:取引先を交えた忘年会

取引先を交えると、従業員のためだけではなくなるので、交際費に計上されます。交際費等とは、取引先などに対する接待、供応、慰安などために支出する費用です。忘年会を福利厚生費として計上するには、下記の条件が必要です。
1.全従業員を対象に行う
2.企業の負担額が一律である
3.利用金額が常識的な範囲である
また、一部の従業員で行う忘年会は、「福利厚生費」ではなく「社内交際費(=交際費)」として取り扱われます。

参考:「No.5261 交際費等と福利厚生費との区分」 / 国税庁

例5:PET検査を含む健康診断

健康診断は、最低年1回は実施する必要があり、その費用は企業が負担するため、基本的には福利厚生費です。しかし、PET検診は、ガンの早期発見を促す検査で、検査費用も約10万円と高額なため、「費用が常識の範囲を超えている」とされ、福利厚生費として経費計上できない可能性があります。

PET検査や人間ドックを福利厚生費として計上するには、「○○歳以上の希望者は全員受けることができる」というような社内規定を策定して、受診機会の公平性を保証すること、また、費用負担や検査費用の見積を取得して高額ではないと客観的に言及することがポイントになります。

参考:「人間ドックの費用負担」 / 国税庁

例6:社内部活にかかる費用(場所代や道具代など)

社内部活の補助費用は、下記の条件に当てはまれば福利厚生費として経費計上できます。
1.誰でも参加できる
2.不参加の従業員に現金支給をしない
3.支給額が常識的な範囲である
道具の購入費用も福利厚生に計上できますが、個人がその道具を持ち帰って利用する場合には計上できないので注意しましょう。

参考:「課税しない経済的利益……使用者が負担するレクリエーションの費用」 / 国税庁

例7:新幹線代で毎月10万円を超える通勤手当

通勤手当や定期券料金が非課税となる上限は1ヶ月あたり15万円なので、1ヶ月の通勤手当が10万円であれば新幹線を利用しても問題ありません。ただし、グリーン料金は通勤手当として認められません。

通勤手当を算出する際には、通勤のための運賃・時間・距離などを考慮して、もっとも経済的・合理的な経路であることが前提条件です。例えば、普通電車で1時間で通える距離を新幹線で10分で通勤したい、という希望は経済的ではないので計上するのは難しいでしょう。

参考:「No.2582 電車・バス通勤者の通勤手当」 / 国税庁

例8:社員同士の結婚祝いとして10万円の旅行券をプレゼント

従業員やその親族等の結婚祝いや出産祝いなどの費用は、福利厚生費として経費計上できます。今回の例は旅行券ですが、現金で支給することも可能です。現金で支給する場合も慶弔見舞金として支給し、福利厚生費に計上します。

社内規定で「慶弔金規定」が定められており、全社員が対象となっていることがポイントです。また、この金額も常識の範囲内を超えない程度なので10万円前後が妥当と考えられます。

参考:「No.5261 交際費等と福利厚生費との区分」 / 国税庁

個人事業主も福利厚生費を計上できる?

福利厚生を利用できるかどうかは、従業員の有無で決まります。1人で事業を行っている個人事業主や、家族のみ(専従者)で経営している個人事業主は、福利厚生費を計上することはできません。

個人事業主が従業員を雇っている場合には、全従業員が平等に利用できることや常識的な金額であることを条件に、福利厚生費に計上することができます。

まとめ

福利厚生費として経費を計上するには、細かい規定があるため、判断に迷うことが出てくると思います。福利厚生は給与とは別の従業員支援であり、「全従業員を対象にしている」「金額が常識の範囲内」であることが大前提です。この条件を満たさないと福利厚生費としてみなされないことを覚えておきましょう。

※情報は2020年5月時点のものです。法律改正により変わることもあるため、最新情報は国税庁のホームページ等をご確認ください。