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「休み方改革」のやり方とメリットを解説!導入企業の事例も紹介


日本は、少子高齢社会を迎え、働き手不足が深刻化しており、仕事の効率化や従業員確保のためには、労働環境の改善が欠かせません。そこで、長時間労働を減らし、従業員の健康を守る姿勢をアピールする取組みとして注目されているのが「休み方改革」。大手だけでなく中小企業にも広がりつつあるこの改革は、業績改善にもつながる効果があります。

この記事では、休み方改革とはなにか、企業が取り組むメリットやすでに導入している企業事例とあわせて解説します。

「休み方改革」とは?なぜ休みを増やすのか

休み方改革とは、企業が特別な休暇制度を設けたり、時短勤務を推奨したりして、従業員が休暇を取りやすくなるような環境づくりをすることです。少子高齢化が進む日本では、20年前と比べて生産年齢人口(15歳以上~65歳未満の人口)は約1割も減少しています(※1)。働き手不足の中、長時間労働やストレスのかかる業務を強いられ、体調を崩す人も増えており、2018年に労災と認定された脳や心臓の疾患、精神障害は861件に上りました(※2)。過酷な労働環境が社会問題となり、国も積極的に休み方改革を進めようとしています。きちんと休息をとることで心身の健康を整え、生産性や働く意欲の向上につなげるのが狙いです。

国際労働機関(ILO)には、有給休暇を連続で2労働週以上(10日以上)取得するように定めた条約(※3)があります。日本は批准していませんが、世界では長期休暇を取ることは労働者の当然の権利と考えられています。一方、旅行サイト「エクスペディアジャパン」(※4)によると、日本の有給消化率は50%程度で他国よりも低い水準にあります。理由としては「人手不足」、「仕事をする気がないと思われたくない」が大半です。日本の職場は休みたくても休みにくい雰囲気になっており、制度を設けるだけでなく根本的な考え方を変えなければ改革はうまくいかないでしょう。

ヨーロッパのように2~3週間のバカンスを取るのは難しいかもしれませんが、土日祝日の前後に有給休暇をつければ3、4日の連続休暇になります。この間に旅行に行ったり、ゆっくりと体を休めたりして、新たな活力につなげられれば理想的です。

「休み方改革」と「働き方改革」何が違う?

聞き慣れた言葉に「働き方改革」がありますが、「休み方改革」と何が違うのでしょうか。

働き方改革が目指すもの

・長時間労働の是正
・従業員のライフスタイルに合った働き方を選べる環境作り
・仕事の効率化に伴う企業の生産性向上

休み方改革が目指すもの
・長時間労働の是正
・従業員の健康維持
・仕事への意欲向上と、それに伴う生産性の向上

このように、働きやすい職場環境を整えるのが働き方改革で、従業員の活力を高めるのが休み方改革です。企業としては、どちらか一方を進めるのではなく、並行して取り組むのがベストでしょう。

2014年、内閣府などは「休み方改革ワーキンググループ」を発足させ、「休むことは人生を最適化する手段」と主張しました。国はその後、「プレミアムフライデー」や「キッズウィーク」などの施策が打ち出しましたが、現場の実態に即しているとは言い難く、企業ごとの積極的な取り組みが求められます。

一方、「働き方改革」は改革推進助成金が出たことに加え、新型コロナウイルスの影響もあり、一気に進みました。昨年、東京都内でテレワークを導入している企業の割合は25.1%でしたが、今年は57.8%に増加しています(※5)。

テレワーク、在宅勤務による働き方改革で福利厚生のあり方にも変化が求められています。テレワークにおける福利厚生については、「《注目》テレワーク導入による福利厚生費の見直しポイント」も合わせてご覧ください。

業績UPも!休み方改革を実践している企業事例

「休み方改革」によって、従業員が休みやすい雰囲気づくりに成功し、効果を挙げている企業は少なくありません。ここでは、すでに実践している企業事例を紹介します。

(1)サントリーホールディングス株式会社の「休み方改革」
5000人近い従業員を抱える「サントリーホールディングス」では、年間16日以上の有給休暇取得や22時以降の残業禁止、男性従業員の育児休暇取得促進などを掲げ、さまざまな取り組みを行っています。

パソコンの使用時間などの勤怠情報を個人でも確認できるようなシステムを導入し、仕事の計画表提出も義務化することで、自分のスケジュールを把握させるようにしています。従業員のセルフマネジメント領域を広げ、積極的な休暇取得を促すとともに、不足している場合などは上司がサポートするようにしているということです。オフィスは22時になると自動的に消灯されるため、残業も半ば強制的にできないようにしています。

これらの取組みにより、2015年に56.6%だったサントリーホールディングスの有給休暇取得率は、2019年には78.6%まで増加しました。休むことに対する従業員の抵抗が薄れていったと言えるでしょう。育児休暇の取得率も年々上がっており、2019年には女性が100%、男性も41%(※6)(※7)となりました。

(2)医療法人社団・順仁堂遊佐病院
山形県遊佐町にある遊佐病院を運営する「医療法人社団・順仁堂遊佐病院」では、約100人の従業員のうち、半数近くを占める看護師の人材確保を進めるため、休み方改革に力を入れてきました。

給与支払い日を「家族団らんの日」に定め、残業せずに帰宅するよう呼びかけたほか、従業員が残業しないと決めた日は、周囲にそのことを示せるよう、衣服にバッジを着けて勤務することにしました。リフレッシュ休暇や誕生日休暇などの制度も設け、有給休暇を取りやすくなるような雰囲気づくりにも励んでいます。

院内には「ワーク・ライフ・バランス推進委員会」が設けられ、副院長兼看護部長をトップに事務長や看護師長、看護師、介護員、庶務主任、管理栄養士がメンバーとなって休み方改革の推進に努めています。こうした取組みの結果、2012年に13.6%だった看護師の離職率が13年には0%になりました。採用面でも、求人数を上回る応募人数が来るようになったそうです。(※8)

まとめ

厚生労働省は、「休み方改革」を行う上で、大事なこととして社内の仕組みづくりを挙げています。担当部署やプロジェクトチームを立ち上げ、制度変更を行うことでようやく、改革への本気度が伝わるのです。休み方改革の要諦は、「きちんと休みましょう」というメッセージを、地道に発信し続けることなのです。

《参考資料】
※1:日本の生産年齢人口等の推移
※2:令和元年版過労死等防止対策白書/厚生労働省
※3:1970年の有給休暇条約(改正)(第132号)/ILO
※4:有給休暇国際比較調査2019/エクスペディア・ジャパン
※5:テレワーク導入実態調査/東京都
※6:サントリーホールディングス株式会社/働き方・休み方改善ポータルサイト
※7:ワークライフバランスの推進/サントリーホールディングス株式会社
※8:医療法人社団 順仁堂遊佐病院/働き方・休み方改善ポータルサイト